電気通信工事の1日|朝礼から片付けまでの流れ
「工事の仕事は、朝が早くて夜が遅い」——そんなイメージだけで、この仕事を判断していないでしょうか。実際の一日は、朝9時の集合から18時の片付けまで、朝礼と危険の洗い出し、段取り、作業、確認と片付け、日報という五つの区切りに分かれて進んでいきます。どの区切りにも、そこでしか終わらせられない役割があり、順番を飛ばすことはできません。ところが求人票に並ぶ「電気通信設備の施工」という一文からは、その中身までは見えてきません。どこで気を張り、どこで手を動かし、何を確かめてから現場を出るのか。私たちの一日を、朝礼から日報まで順番に、現場の視点からお伝えします。
一日は、朝礼とKY活動から始まる
朝9時に集合し、現場でまず行うのが、朝礼とKY活動(危険予知活動)です。KY活動とは、その日の作業にどんな危険が潜んでいるかを作業前に全員で洗い出し、対策を声に出して共有する取り組みのこと。脚立からの転落、通電したままの設備への接触、他の業者との動線の交錯——起こりうることをあえて言葉にして確認します。あわせて、その日の作業内容と担当、使う資材と工具もそろっているかを見ておきます。安全は、その日の担当者の注意力だけに預けるものではありません。決まった順番で洗い出し、共有し、記録に残す。その積み重ねで守るものだと私たちは考えています。
現場に入って最初に動かすのは、資材と段取り
現場に入っても、すぐ配線を始めるわけではありません。まず資材と工具をどこから運び入れるかを決めます。エレベーターや通路は他の業者も使うため、使える時間帯が決まっていることも多くあります。床や壁を傷つけないよう保護材で覆う養生も、作業の前に済ませておく工程です。稼働中のオフィスや病院では、既存の設備を止められる時間が限られており、その枠内で何をどこまで進めるかを先に決めておく必要があります。内装や空調の職人と同じ場所に入る日は、作業の順番も朝のうちに調整します。この段取りにかけた時間が、その日の作業速度をほぼ決めます。
午前は体力、午後は精度が問われる
午前は体力を使う工程に充てることが多くなります。ケーブルの敷設、ラックの組み立て、重い資材の移動——脚立や高所作業車を使う作業が中心です。このとき効いてくるのが、必要なケーブルの長さを読む力です。図面上の距離と、実際に配線が通る経路の長さは一致しません。曲がりや余長を見込まずに切ってしまえば、もう一度引き直すことになります。12時の昼休憩をはさんだ午後は、結線や成端(ケーブルの先端を機器につなげられる形に加工すること)といった、細かく精度の求められる作業に移ります。途中で進捗を見て、その日のうちに終える範囲と翌日に回す範囲を決めます。
現場を出る前に、確認と片付けを終える
作業が終わったら、測定器を当てて通信の状態を確かめます。ここで気になる数値が出れば、その日のうちに原因をたどります。確認が済んだら、18時をめどに片付けと清掃に入ります。工具は数を数えて回収します。一本の忘れ物が、翌日の稼働中の設備を止める事故につながることがあるからです。ケーブルの切れ端や結束バンド、梱包材は持ち帰り、養生も翌日必要な分だけ残して撤去します。建物を借りて仕事をさせてもらっている以上、清掃までを含めて工事だと考えています。最後に鍵や立ち入りの記録を管理者に戻し、翌日使う資材と工程を確かめてから現場を出ます。
一日の終わりが、翌日の始まりになる
帰社後は日報をまとめます。どこまで進んだか、資材をどれだけ使ったか、翌日に引き継ぐ作業は何で、なぜ今日そこで止めたのか。書き残した一行が、翌朝の朝礼でそのまま段取りとして読み上げられます。自分の書いたことが、次の日の誰かの動きになる。その手応えが積み重なって、任される範囲は少しずつ広がっていきます。
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